- 著者
-
小川 國治
田中 誠二
- 出版者
- 山口大学
- 雑誌
- 一般研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 1988
昭和63年度と平成元年度の2年間で、以下のような研究を行った。1.中国地方諸藩と長州藩とを比較し、その特質を検討した。(1)長州藩の土地制度のうち慶長・寛永・貞享・宝暦の検地を中心に、地方史料を用いて、政策の実態・特質・石高の性格を究明し、中国地方諸藩との比較検討を行った。(2)長州藩の租税制度について、前期から後期まで、徴租法の内容・段階区分などを検討した。(3)長州藩の村入用について、実態の究明と段階区分を行い、負担の全体像を検討した。(4)長州藩の特産物の紙・ろう等について、その専売を段階区分に即して検討した。(5)大谷家文書・益田家文書・毛利家文書などの史料によって、藩・給領主・庄屋の支配関係を明らかにし、長州藩の地方支配の特質を村の側から検討した。2.史料収集と整理・分類を行った。(1)山口県田万川町の大谷家文書(庄屋文書)は、県内地方史料のなかでも群を抜く豊富さなので、重点的に史料収集を行った。(2)大谷家文書との関連で、田万川地方を支配した益田家の文書を調査した。3.以上の研究成果として、小川が「萩藩の郷村支配と老」、「長州藩産物取立政策と佐波川水運の開発」、「萩藩撫育方と鶴浜開作」、田中が「萩藩貞享検地考」、「萩藩の本・支藩関係をめぐって」、「毛利秀元論-萩藩初期政治史研究序説-」(『研究成果報告書』参照)などを発表して新知見を示した。