著者
飯塚 俊輔 望月 義範 田代 有里 小川 廣男 水野 治夫 磯 直道
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.488-492, 1996-05-15
参考文献数
10
被引用文献数
1

豚肉(スペアリブ)の塩濃度は,4%食塩添加によって生肉の0.5%から塩蔵1日後の3.1%へ増加し,その後はほぼ一定となった.示差走査熱量(DSC)測定の結果から,塩蔵による肉の変性は主としてミオシンに生じることがわかった.変性の進行につれて,エンタルピー変化ΔH (mcal/粗タンパク質mg)は1.212から塩蔵3日後の0.830まで急減し,その後は塩蔵27日後の0.736まで徐々に減少した.試料の弾性率,粘度,破断強度は全体として,塩蔵中に増加した.豚肉ペーストの加熱中の動的剛性率は塩蔵6日後は52~58℃で減少する傾向を示した.この結果はミオシンの熱変性による試料の構造変化のためと考えられる.