著者
Haruyo IWASAWA Masatoshi YAMAZAKI
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.275-282, 2009 (Released:2009-08-06)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

We have studied the neutrophil-increasing effects of fruits and vegetables and their priming effects on cytokine induction. Among fruits, bananas exhibited the most marked priming effects. Therefore, we evaluated possible differences in the biological response modifier (BRM)-like activities of bananas (such as the effects on neutrophil accumulation and macrophage morphology, and the priming effects on cytokine induction), according to their strain and maturity, using a conventional strain and a strain for highland cultivation. As a result, the total intraperitoneal leukocyte count and % neutrophils increased in parallel with the concentration and maturity of banana extracts. These effects were more marked in the highland strain. After the addition of banana extracts, marked macrophage spreading was observed, and morphological changes differed according to the strain and maturity of bananas. The priming effects on TNF-α or IL-12 induction also differed according to the maturity and strain of bananas, and could also be confirmed after oral administration. These results suggest that banana intake is associated with various BRM-like activities, and these effects differ according to the maturity level of the bananas.
著者
長野 隆男 矢野 裕子 西成 勝好
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.344-349, 2003-08-15
被引用文献数
3 1 1

市販の絹ごし豆腐について,圧縮試験による力学物性測定と共焦点顕微鏡によるミクロ構造の観察をおこない,以下の結果を得た.<br>1) 豆腐の圧縮試験から得られた応力-歪み曲線をBST式でよくあらわすことができ,破断応力,破断歪み,ヤング率,弾性パラメーターnの4つのパラメーター値を抽出することができた.<br>2) 共焦点顕微鏡を使用することで,豆腐を固定せずにタンパク質と油滴を特異的に観察できること,1mm程度の厚さのある試料を用いてもタンパク質のネットワーク構造と油滴の状態が画像として得られることが明らかとなった.<br>3) 共焦点顕微鏡による観察結果から,市販の絹ごし豆腐は2つのグループに分けられた.すなわち,タンパク質の凝集が詰まって密にみえる「密構造タイプ」と,凝集が疎で粗い構造を示す「疎構造タイプ」である.<br>4) 「密構造タイプ」と「疎構造タイプ」の違いは,破断歪みの平均値の結果によく表されており,前者は50%より高く後者は50%より小さい値を示した.<br>5) 豆腐の力学物性測定結果は,タンパク質のネットワーク構造とよく相関し,油滴の状態との相関は低いと考えられた.弾性率,破断応力への寄与は,主にタンパク質のネットワーク構造によるためであろう.

15 0 0 0 エクオール

著者
田村 基
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.492-493, 2010-11-15

大豆に含まれる大豆イソフラボンは,種々の生活習慣病予防効果が期待されているフラボノイドの一種である.フラボノイドにはフラボノイド骨格のみからなるアグリコンとフラボノイド骨格に糖が結合したフラボノイド配糖体が存在する.ダイゼインやゲニステインはイソフラボンに属している.味噌や醤油などの大豆製品では,イソフラボンのアグリコンであるダイゼインやゲニステインの割合が多く,逆に,豆腐では,イソフラボン配糖体の割合が多いことが知られている.イソフラボンの一つであるダイジンからは,腸内フローラの代謝によってエクオール(Equol, エコールとも呼ぶ)を生成する(図1).腸内でイソフラボンから産生されるエクオールは,もとのイソフラボンよりもエストロゲン活性が強く,高機能性イソフラボン代謝物とみなされている.そのため,イソフラボンよりもエクオールの機能性の高さが注目されるようになってきている.エクオールは脂質代謝に影響すると考えられている.大豆加工食品を摂取したヒトの中で,エクオール濃度が高いヒトほど血中コレステロールおよび血中トリグリセリド低下効果が顕著であったことが報告されている.また,エクオールの癌予防効果が期待されている.乳癌リスクの低さとエクオール産生量の多さに相関があるという報告やエクオール濃度の高い男性では,前立腺癌のリスクが低い可能性があるといった報告がある.女性は閉経後に女性ホルモンの量が減少することや更年期において様々な障害が発生することが知られており,この更年期障害の緩和にエストロゲンを投与するエストロゲン療法が行われる場合もある.エクオールには弱いエストロゲン活性があるため,エクオールによる更年期障害予防効果や閉経後の骨粗鬆症予防効果が期待されている<SUP>1)</SUP>.一方,エクオール産生性を有する腸内環境が健康機能を高めている可能性も示唆されている.しかし,エクオール産生能は,ヒトによって個人差が大きく,50~70%のヒトは,エクオール産生能が非常に弱いことが知られている.エクオール産生に関与する腸内フローラ(腸内細菌叢)の個々人の違いがこれらエクオール産生能の個人差を生み出していると考えられている.エクオール産生に関与する腸内フローラが,イソフラボン類の機能性発現を含めて生体内で重要な役割を担っていると考えられている.しかしながら,イソフラボン類の代謝変換に関与している具体的な食品成分についての情報はまだ乏しいのが現状である.このような現状に於いても,腸内でエクオールの産生を高める食品は新しい機能性食品(腸内フラボノイド代謝改善食品)としての魅力がある.エクオール産生を向上させる食品に関する研究が報告されている.この報告では,イソフラボンとフラクトオリゴ糖を同時に摂取させたラットのグループでは,イソフラボンのみを摂取したラットのグループよりも血漿エクオール濃度が有意に高く,フラクトオリゴ糖がラットのエクオール産生を向上させることが示唆されている.また,ヒトの調査では,肉食やお茶の摂取とエクオール産生性との相関が認められるとの報告があるが,エクオール産生性を顕著に高める食品成分はまだ見つかっていない.また,エクオール産生性の腸内細菌をエクオール非産生のヒトへ投与することで腸内でのエクオール産生性の向上が期待されるが,腸内細菌の中でエクオール産生性の菌種は非常に少ないと考えられている.内山らは,公的機関より購入したビフィズス菌29株(22菌種),乳酸桿菌184株(52菌種)を用いてダイゼインからのエクオール産生能を検討したところ,いずれの菌もエクオールを産生しないことを見出した<SUP>2)</SUP>.しかし,内山らは,ヒトの糞便からエクオール産生性腸内細菌を見出し,この腸内細菌のヒトへの応用の可能性を論じている.ヒトの腸内でエクオール産生菌を増やしてやるとエクオールを産生できないヒトでもエクオール産生能力が得られることが推察される.現在,エクオール産生を高める食品の報告はほとんどなく,エクオール産生をヒトの腸内で高める機能性食品,腸内フラボノイド代謝改善食品の開発が期待されている<SUP>3)</SUP>.
著者
野田 克彦 磯崎 さとみ 谷口 春雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.791-796, 1985-11-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
16
被引用文献数
1 3

大腸菌生育に対するスパイス類の影響を検討し以下の結果を得た(1) 大腸菌のコロニー形成に対してクローブ,タイム,セージの加熱抽出水溶液は抑制的に働き,ブラックペパー,ローズマリーの加熱抽出水溶液はわずかに抑制的であり,マスタードの加熱抽出水溶液には明確な効果はみられず,ガーリック,パセリの加熱抽出水溶液およびワサビ,シソ葉,ヒネショウガの搾汁加熱液は生育促進的に作用した。(2) タイムには菌生育阻害物質としてチモールが存在するが,それと共に生育促進因子の存在も示唆され,タンニン酸など還元性物質である可能性があった。(3) 市販ガーリック粉末は大腸菌生育に促進的に働いたが,生鮮ニンニクは高濃度では生育を抑制し,低濃度域では逆に生育を促進した。市販ガーリック粉末および低濃度ニンニク汁の生育促進効果はスコルジニンによるものとの結果を得た。(4) 生鮮ワサビ,シソ葉,ショウガ,および乾燥パセリなどに菌生育促進効果がみられたのはアスコルビン酸によるものと推測した。
著者
前橋 健二 有留 芳佳 股野 麻未 山本 泰
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.186-190, 2008-04-15
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

ゴーヤ料理にかつお節がしばしば使用されることに注目し,かつお節の苦味低減作用について検討した.<BR>(1)生ゴーヤおよびゴーヤチャンプルの苦味強度はかつお節をまぶすことによって著しく低下した.<BR>(2)苦味抑制効果はかつお節エキスよりもかつお節エキス調製後のだしがらに著しく認められ,ゴーヤエキスにかつお節だしがらを加えて乳鉢でよく混和したところ,その上清の苦味は大きく減少していた.<BR>(3) かつお節だしがらを詰めたカラムを作成しそれにゴーヤエキスを通したところ,ゴーヤ中の苦味成分はカラムに強く吸着し蒸留水では溶出されなかったが60%エタノールによって溶出された.<BR>これらの結果から,かつお節にはゴーヤ中の苦味物質を強く吸着する性質があることがわかり,この性質によりゴーヤに含まれる苦味成分を舌に感じさせなくすることがかつお節の脱苦味作用であると考えられた.
著者
高野 克己 鴨居 郁三 小原 哲二郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.310-315, 1986-05-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
31
被引用文献数
3

米糠中の脂質分解機構に関する基礎的知見を得るため,米糠の貯蔵試験を行い,各脂質成分の変化ならびに脂質分解酵素の存在について検討した.1. 米糠100g中にトリアシルグリセロール約11.5m mol,糖脂質(グルコースとして)約0.85m molおよびリン脂質(リンとして)約0.7m mol含有されていた.2. 米糠貯蔵中における各脂質成分の変化を詳細に知るため,米糠を31℃で貯蔵し,経時的にその変化を調べた.その結果,各脂質の分解速度はリン脂質>トリアシルグリセロール>糖脂質の順であり,トリアシルグリセロールの分解に先立ちリン脂質の分解が起こっていることが認められた.3. 米糠を貯蔵すると,まずリン脂質の分解が起こるので,米糠中の主要リン脂質であるホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミン,ホスファチジルイノシトール,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの経時的変化について検討した結果,ホスファチジルコリン,ホスファチジルエタノールアミンおよびホスファチジルイノシトールは貯蔵初期に急速な減少を示したが,ホスファチジン酸およびリゾホスファチジルコリンの分解はやや緩慢であった.4. 米糠中の主要糖脂質であるトリグリコシルジグリセリド,ジグリコシルジグリセリド,モノグリコシルジグリセリド,アシルステリルグリコシドおよびステリルグリコシドの貯蔵中における経時的変化について調べたところ,各成分共にリン脂質成分に比べ,初期における分解速度は小さかった.5. 米糠の脂質分解酵素活性について検討したところ,米糠中に初めてホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDの存在を認めた.また,米糠100g中にはリパーゼ34 Unit,ホスホリピトアシルヒドロラーゼ8 Unit,ホスホリパーゼC 12 UnitおよびホスホリパーゼD 13Unitが存在し,その活性比は100:24:35:39であった.6. 米糠貯蔵中における各脂質分解酵素活性の変化について調べた結果,リパーゼ,ホスホリピドアシルヒドロラーゼ,ホスホリパーゼCおよびホスホリパーゼDは貯蔵60日目でも約30~60%の活性が残存し,これら酵素は米糠中において比較的安定であった.
著者
大久 長範 堀金 明美 大能 俊久 吉田 充
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.522-527, 2005-11-15
被引用文献数
4 2

1) 稲庭うどん, ナンバーワンひやむぎ, 讃岐うどんの圧縮強度 (低圧縮H1, 高圧縮H2) 及びその比 (H2/H1) を求めた.<br>2) 茹で30分後のH2は, ナンバーワンひやむぎで1.9N, 讃岐うどんで2.5Nでに対し, 稲庭うどんでは4N~7Nと大きな値であった. 時間の経過とともにH1とH2は変化するものもあったが, H2/H1比はほぼ一定の値となり, No1ひやむぎが約10, 讃岐うどん約8, 稲庭うどんが13~18であった.<br>3) 茹でた稲庭うどんをMRIにより観察したところ, 空隙があり, 空隙には水が進入していない状態が6時間に渡り維持された. ナンバーワンひやむぎや讃岐うどんにはこのような空隙が観察されなかった.
著者
上田 成子 桑原 祥浩 平位 信子 佐々木 弘子 菅原 龍幸
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.38, no.6, pp.507-514, 1991-06-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1 3 12

食用植物類101種107検体とキノコ類60種の計167検体のTry-P-1に対する抗変異原活性をSal. typhimurium TA 98株を用いて検討した結果以下の成績がえられた.1. 試験した試料のうちTry-P-1に対して強い抗変異原活性を示したものはレモンバーム,タイム,フキノトウ,モミジガサ,オレガノ,ツクシ,シロザ,ギョウジャニンニクおよびエストラゴンの9種であった.2. 食用植物類の科別分類では,キク科,シソ科,アブラナ科,セリ科植物に抗変異原活性がみられるものが多かった.また,香辛野菜類については,試験した全てが抗変異原活性を有していた.キノコ類については,45%の試料で抗変異原性がみられたが,野菜類に比してその活性は弱いものであった.
著者
恒次 祐子 芦谷 浩明 嶋田 真知子 上脇 達也 森川 岳 小島 隆矢 宮崎 良文
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.8, pp.347-354, 2005-08-15
被引用文献数
3 1

5種類の味と香りの異なるチョコレートに対する主観的快適感と被験者の性別およびパーソナリティの関係を検討したところ, 以下の結果が得られた.<br>1) 女性群においては,<br>i) チョコレート全体に対する快適感が男性群よりも有意に高いこと, ならびに個別のチョコレートについては, 苦みを強くしたチョコレートにおいて快適感が男性群よりも有意に高く, オーク材抽出物を添加したチョコレートにおいても高い傾向にあることが認められた.<br>ii) 快適感に対する男性性ならびに女性性の有意な正の影響が認められた.<br>2) 男性群においては,<br>i) 快適感に対するタイプA型傾向の有意な正の影響が認められ, 特性不安の有意な負の影響が認められた.<br>3) チョコレート別の快適感とパーソナリティとの関係について,<br>i) 男性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートの快適感と女性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>ii) 女性群においてはオーク材抽出物添加チョコレートならびに甘みを強くしたチョコレートの快適感と男性性との間に有意な正の相関が認められた.<br>以上により, チョコレートの快適感に評価者個々人のパーソナリティが影響を与えていることが明らかとなった. 今後個人の価値観や好みを重視したチョコレートの創造を検討していく上で, 有用な示唆を与えるものと考えられる.
著者
中林 敏郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.142-146, 1978-03-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1 6 3

焙煎によるコーヒー豆の有機酸とpHの変化を検討した結果。(1) コーヒーの有機酸のブチルエステルをガスクロマトグラフィーで分析して,ギ酸,酢酸,乳酸,グライコール酸,レヴリン酸,シュウ酸,マロン酸,コハク酸,リンゴ酸およびクエン酸を同定した。(2) 焙煎により有機酸はそれぞれ変動するが,特にギ酸と酢酸の増減が著しい。(3) 焙煎中,遊離酸量はメディアムで最高となった後減少し,pHもこれに応じて変動するが,総酸量はほとんど最後まで増加を続ける。(4) メディアム以降,かなりの量の有機酸が黒褐色多孔性のコーヒー豆組織に吸着される。
著者
阿部 利徳 氏家 隆光 笹原 健夫
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.172-176, 2004-03-15
被引用文献数
5 9

エダマメ9品種および普通大豆5品種を用いて,開花後35日の未熟子実の遊離アミノ酸含量および糖含量の品種間差異,およびこれらの成分がゆで操作により加熱した場合にどのように変化するかを調べた.未熟子実の全遊離アミノ酸含量には顕著な品種間差異が認められた.おいしいエダマメとして知られている白山ダダチャは全遊離アミノ酸は新鮮重1g当たり,11mg含有し,最も多く,含量の少ない品種の約3倍量含有していた.遊離アミノ酸の中で,特に呈味性アミノ酸のグルタミン酸,アスパラギンおよびアラニン含量が多く,この3種の遊離アミノ酸で全遊離アミノ酸の約50%を占めた.白山ダダチャの他,サッポロミドリ,青ばた,かほりが比較的高く,その他のエダマメ品種や普通大豆品種は低い含量であった.また,3分間煮沸水中でゆでた場合,多くのアミノ酸は含量がやや減少した.平均して全遊離アミノ酸は74%に減少した.全糖およびショ糖含量の品種間差異をみると,白山ダダチャが最も多く,新鮮重1g当たり全糖で約47mg,ショ糖では約30mg含有していた.白山ダダチャに次いで,青ばたと秘伝が多く含有していた.3分間煮沸水中でゆでた後のショ糖含量の増減は認められなかったが,全糖含量は平均して1.5倍に増加した.
著者
高橋 陽子
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, 2011-04-15
被引用文献数
1 1 2

繊維質とは,自然に放置しても分解されにくく,動物によっても消化されにくい成分のことを指す.本来,ヒトの消化酵素で消化されない繊維質は,生理的意義が低い非栄養素とされてきたが,難消化性の繊維質はヒトの健康維持に重要な役割を果たすことが次第に知られるようになった.食物繊維とは多糖類のひとつであるが,日本食品標準成分表2010では「ヒトの消化酵素で消化されない食品中の難消化性成分の総体」と定義されている.ヒトの炭水化物消化酵素であるアミラーゼは,デンプンを構成している糖分子のα結合を分解できるが,食物繊維を形成しているβ結合を分解する能力がない.従来,食物繊維はエネルギー源にならないと考えられていたが,実際は,消化されない食物繊維の一部が腸内細菌により発酵分解されて短鎖脂肪酸とガスになるため,エネルギー量はゼロにはならない.また,食物繊維はタンパク質,脂質,炭水化物(糖質),ビタミン,ミネラルに次いで,ヒトに不可欠な第六の栄養素として数えられるようになっている.<BR>食物繊維は水に溶けない不溶性(water-insoluble dietary fiber ; IDF)と水に溶ける水溶性(water-soluble dietary fiber ; SDF)に大別される.一般的に食物繊維は,食物の咀嚼回数や消化液の分泌を増加させたり,便通や腸内環境を改善したりするが,不溶性と水溶性で異なる生理作用もある.不溶性食物繊維は保水性が良く,便量の増加や腸の蠕動運動の促進,脂肪や胆汁酸,発がん物質等の吸着・排出作用がある.水溶性食物繊維は,糖の消化吸収を緩慢にして血糖値の急な上昇を抑える糖尿病予防効果,胆汁酸の再吸収を抑えてコレステロールの産生を減らす脂質異常症の抑制効果が期待できる.また,水分を吸収してゲル化するため,胃腸粘膜の保護や空腹感の抑制作用がある.<BR>不溶性食物繊維には植物体を構成するセルロース,ヘミセルロース,リグニン,エビやカニ類の外骨格成分であるキチン・キトサンがある.セルロースは植物の細胞壁の主成分で,野菜や穀類の外皮に多く含まれる.グルコースがβ-1,4結合により直鎖状に連なってリボン状に折り重なる構造をしているため,力学的に強固な物質である.ヘミセルロースも細胞壁を構成する不溶性食物繊維であるが,セルロースを構成するグルコースが他の糖で置換された多糖類である.糖分子の種類によって水溶性が異なり,マンナン(グルコマンナンとも呼ばれるコンニャクの成分.グルコースとマンノースがβ-1,4結合したもの),β-グルカン(キノコ類や酵母類に含まれる.グルコースがβ-1,3または-1,4結合したもの),キシラン(細胞壁の成分であるキシロースがβ-1,4結合したもの)等がある.リグニンは果物や野菜の茎,穀類の外皮に含まれる木質の繊維である.キチンはセルロースに構造が似ているが,N-アセチル-D-グルコサミンが連なるアミノ多糖であり,キトサンはキチンからアセチル基が除かれたD-グルコサミン単位からなるものである.水溶性食物繊維にはガム質,ペクチン,藻類多糖類等が分類される.ガム質は植物の分泌液や種子に含まれている粘質物で,代表的なものにグアー豆に含まれるグアーガム(マンノース2分子に1分子のガラクトースの側鎖をもつ多糖類)がある.ペクチンはガラクツロン酸がα-1,4結合した構造をしており,腸内細菌では分解できるがヒトの消化酵素では分解できない.果物類に多く含まれ,水分を吸収してゲル化する性質があり,砂糖と酸を加えて加熱調理するジャムやゼリーの製造に利用されている.藻類多糖類には渇藻類に多いアルギン酸,紅藻類に多いフコイダン,寒天の主成分であるアガロース等がある.この他に,トウモロコシを原料として人工的に合成されるポリデキストロースや難消化性デキストリンも食物繊維として使用されている.<BR>食物繊維の摂取目標量は,日本人の食事摂取基準(2010年版)によると,18歳以上では1日あたり男性19g以上,女性17g以上とされている.日本人の食物繊維摂取量は,食生活の欧米化や穀類,芋類,野菜類,豆類の摂取減少の影響を受けて第二次世界大戦後から年々減り続けており,実際の摂取量は若い世代を中心に目標量を満たさない状況が続いている.
著者
高坂 和久 小沢 総一郎 檀原 宏
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.20, no.12, pp.559-566, 1973

0.5Mrad照射後3日目までは,色沢の劣化はみられないが,咀しゃくないしのど越し時に,微かに照射臭が認められた。<BR>しかし,7日目ぐらいになると,照射ソーセージは退色を示し,色沢の劣化が認められた。一方,照射臭は薄くなり,よほど注意しないとわからない程度であった。<BR>この間,外観,肉質には全く変化がみられなかった。<BR>調理条件を変えた場合,嗜好性は,照射非照射間にわずかの差を生じたが,照射臭は湯煮処理(80℃5~7分)がもっとも識別を困難とし,冷時と油いためは,注意して比較すれば,識別ができる程度であった。<BR>以上の結果から,ウィンナーソーセージにγ線を0.5Mrad照射した場合,照射後2~3日目までは照射臭がわずかに残るが,嗜好性を根本的に変化させるほどではなく,調理条件によっては,さらに低減し得ることがわかった。
著者
柴原 裕亮 岡 道弘 富永 桂 猪井 俊敬 梅田 衛 畝尾 規子 阿部 晃久 大橋 英治 潮 秀樹 塩見 一雄
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.280-286, 2007
被引用文献数
7 11

ブラックタイガー由来精製トロポミオシンを免疫原として,甲殻類トロポミオシンに特異的に反応するモノクローナル抗体を作製し,甲殻類トロポミオシン測定用のサンドイッチELISA法を確立した.本法では,甲殻類に分類されるえび類,かに類,やどかり類,おきあみ類のトロポミオシンとは交差率82~102%と全般的に反応したが,軟体動物に分類されるいか類,たこ類,貝類トロポミオシンとの交差率は0.1%未満であった.また,食品全般においても甲殻類以外で反応は認められなかった.検出感度は甲殻類由来総タンパク質として0.16ppmであり,食品表示に求められる数ppmレベルの測定に十分な感度であった.再現性もCV値10%未満であったことから,精度よく測定できると考えられた.さらに,食品由来成分の存在下においてもマトリックスの影響を受けないこと,加熱により変性を受けた場合にも測定可能なことを確認した.したがって,本法は甲殻類由来トロポミオシンに対して特異的であり,加工食品における甲殻類検知法として使用可能であると考えられた.
著者
鈴木 普 佐藤 匡
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.71-75, 1966

ロースハムの日本農林規格における採点基準の具体的数値を把握するため,都内のJAS認定工場33社より56点の製品を採取し,断面の形態に対して,断面の径,面積,周囲長などについて測定し,つぎのような平均数値を得た。<BR>(1) 断面の円形は,長径8.04±0.16cm,短径7.36±0.67cmで,短径が比較的変化するやや扁平な円が多い。また長径,短径の方向は,脂肪層や結着面とはとくに関係がなかった。<BR>(2) 断面積は47.96±2.01cmcm<SUP>2</SUP>,筋肉面積は30.29±1.72cmcm<SUP>2</SUP>,脂肪面積は17.56±1.37cmcm<SUP>2</SUP>で,脂肪面積の変異係数が25.51%で,筋肉面積の変異係数の20.50%よりも大きく,断面からみて製品は脂肪量のばらつきの大きいことがわかる。<BR>(3) 断面における筋肉面積の割合いは63.36±2.49%であり,ロースの芯の周囲をおおう脂肪層の厚さは0.670~1.070cmぐらいである。<BR>(4) 断面の形態より採取試料56点中,明らかに肩ロースのラックスハムと思われるものが17点もあるのは,切断部位が5-6胸椎間のものより,2-3胸椎間のものが多いためと思われる。<BR>(5) 脂肪が肉の表面をなめらかにおおっているのは,周囲長と,脂肪と筋肉の接触面の長さの比が0.987±0.113ぐらいで,比が1.833と大きいものは脂肪面積も45%と大きく,比が0.593と小さいものは,脂肪が筋肉中まで入って,結着を悪くする原因を作っているようである。
著者
Yumiko Nakanishi Kentaro Irie Masatsune Murata
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
Food Science and Technology Research (ISSN:13446606)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.159-167, 2018 (Released:2018-03-24)
参考文献数
22

Pasta samples boiled for different times and mixed with tomato sauce were physically and chemically evaluated to determine the factors affecting the suitability of boiled pasta with tomato sauce for eating. Physical properties of the pasta boiled for the shortest time changed greatly when sauce was added. The texture of the pasta boiled for the longest time was soft, because the core lacked a non-gelatinized region. In a force–strain curve, the change in the force after the breaking point of the pasta boiled for the shortest time was the largest after sauce addition. The T2 values and chlorine distribution of pasta samples showed that the amount of penetration of the sauce ingredients to the core of the pasta boiled for the shortest time was less than that of the pasta boiled for the longest time. These results suggest that small changes in the physical properties after the sauce addition, sufficient penetration of the sauce ingredients to the core, and the presence of a non-gelatinized region at the core are critical factors affecting the suitability of boiled pasta with tomato sauce for eating.
著者
山崎 勝利 鳴戸 康 上田 要一
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.219-225, 2005-05-15
被引用文献数
2 5

本研究では, タンパク質架橋重合化酵素であるトランスグルタミナーゼ (以下, MTGと略す) に着目して, スポンジケーキの調製工程における有用性について検討した. その結果, スポンジケーキの要件を満たすことが可能となり, 以下のような有用性をみることができた.<br>(1) MTGによりスポンジケーキの比容積の向上が図れた.<br>i) MTG 0.5u/gp~5.6u/gp最も効果を発現された. 14u/gpでは比容積の減少がみられた. ii) MTGと他の改質材0.5%との併用においては, 乳化剤, 増粘多糖類, 小麦タンパク分解物の順に作用性が高く得られた. iii) MTG 1.4u/gpと乳化剤0.2%の併用において, MTG単独に対して, 約1.2倍の比容積を得た.<br>(2) MTGの添加により, スポンジケーキの上面の凹みや, 皺もみられず形状の整ったスポンジケーキが得られた. i) MTGの最適添加量は0.5~1.4u/gpであった. ii) 2.8u/gp以上では表皮部がやや硬くなる傾向を示したが, 乳化剤, 増粘多糖類0.2%との併用において, 保形性のよいクラムが形成され, 気泡がよくのびて, しっとりして柔らかい食感が得られた.<br>(3) 破断試験による物性評価では, 無添加に対して, MTG 1.4u/gp添加において破断強度が高くなり, 破断距離ものびたことから, 弾力と柔らかさが向上する傾向が得られるものと推定された.<br>(4) SDS-PAGEからも低分子グリアジン画分の減少が認められた. これらのことからMTGによるスポンジケーキの有用性および主な反応基質タンパク質などが示唆された.
著者
高橋 義宣 河原崎 正貴 星野 躍介 本多 裕陽 江成 宏之
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.9, pp.428-431, 2008-09-15
被引用文献数
1 3 1

アンセリンは回遊魚や渡り鳥など持久力を必要とする動物の筋肉に多く存在することが知られており,マウスの強制遊泳試験によりその抗疲労効果が確認されている.サケ肉より抽出したアンセリン含有サケエキス(SEAns)を用いてヒト臨床試験を行い,疲労の低減に関する効果を検証した.SEAns摂取群は対照群と比較して,筋肉疲労の血中マーカーであるクレアチンホスホキナーゼおよび精神ストレスの血中マーカーであるコルチゾールの有意な減少,さらに運動継続時間の減少を抑制する傾向も確認された.以上の結果より,SEAnsには筋肉疲労,及び疲労感(精神ストレス)を低減する効果があると考えられた.
著者
津久井 学 永島 俊夫 佐藤 広顕 小嶋 秩夫 谷村 和八郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.9, pp.575-580, 1999-09-15
被引用文献数
2 2

わが国で栽培されているツクネイモ,イチョウイモ,ナガイモの3種類のヤマイモについて,それらから調製した「とろろ」の粘性の差異の要因を明らかにすることを目的とし,ヤマイモ粘質物の性状,特に多糖の構造について比較検討を行った.<BR>(1) 各ヤマイモの水分量と「とろろ」の粘度には負の相関がみられ,ツクネイモが最も高く,ついでイチョウイモ,ナガイモの順であった.<BR>(2) 佐藤ら4)の方法によって得られた粘質物の収量は,「とろろ」の粘度と相関がみられ,ツクネイモが最も多かった.粘質物は,いずれも糖が88~64%と主成分であり,タンパク質は36~12%を占めた.同一濃度での粘度を比較したところ,「とろろ」と同様にツクネイモが最も粘度が高く,ついでイチョウイモ,ナガイモであり,これらの粘質物の性状に差異のあることが示唆された.<BR>(3) 粘質物の主要構成アミノ酸は,イソロイシン,ロイシン,グリシンなどであった.<BR>(4) 各ヤマイモ粘質物の主成分である多糖は,いずれも平均分子量18000のマンナンであったが,これらの構造には差異がみられた.単位構造はβ-1→4直鎖部分の平均残基数がツクネイモ18,イチョウイモ15,ナガイモ10で,いずれもβ-1→3結合の分岐が1つあり,その残基数は1であった.<BR>粘質物を構成するマンナンの構造は,ヤマイモの種類により異なっており,粘質物ならびに「とろろ」の粘性に影響する要因のひとつであると推察された.