著者
上原 年博 真島 恵吾 小川 正一郎
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会誌 (ISSN:03866831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1522-1528, 1995-11-20
被引用文献数
8

磁気記録では, 記録過程において非線形歪みが発生する.この非線形歪みは, 記録信号のパターンに応じて, 磁化遷移点の位置がシフトする位相歪みと磁化遷移点の磁化量が変化する振幅歪みに分けることができる.この非線形歪みは, ディジタル記録において誤り率を劣化させる一要因になっており, この定量的な測定と解析が重要な課題となっている.本論文では, まず非線形磁化遷移点シフト量を記録再生系のダイパルス応答から正確に求めることができる新しい測定法を提案する.次に, この測定法を用いてMPテープとCoアモルファスヘッドを組合せて, 記録電流の振幅レベル, 最短符号反転長, 記録電流の低域抑圧度を変化させたときの非線形磁化遷移点シフト量を測定した.その結果, 非線形磁化遷移点シフトは, 最適記録電流の50%以上で現れ増加すること, 直前の磁化遷移点までの距離が0.5μm以下で増加すること, 非線形磁化遷移点シフト量を最小とする記録電流の低域抑圧度が存在することがわかった.