著者
濱野 聖菜 杉田 達哉 川戸 仁 戸石 悟司 清水 久美子 小幡 新太郎
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.64-70, 2020 (Released:2020-05-13)
参考文献数
14

目的:不妊症に悩む夫婦は増加し,本邦におけるAssisted Reproductive Technology(以下ART)後妊娠の割合は増加している.当院の分娩症例を通じて,高次施設における不妊治療後妊娠の周産期合併症を検討する. 方法:当院における2015〜18年の全分娩2, 242例を,自然妊娠群,一般治療後妊娠群,ART後妊娠群に3群化し,13項目の周産期合併症を検討した.χ2検定または一元配置分散分析を用いた二変量解析の後,調整因子を補正し多重ロジスティック回帰分析を行った. 結果:多変量解析では,胎盤位置異常が一般治療後妊娠群およびART後妊娠群で自然妊娠群より有意に高率であり,分娩時大量出血とApgarスコア1分値7点未満がART後妊娠群で自然妊娠群より有意に高率であった. 結論:今後は合併症を意識した周産期管理が重要であり,多施設で症例数を増やした検討も期待される.
著者
塙 真輔 小幡 新太郎 真田 道夫 佐藤 史朗 西方 紀子
出版者
一般社団法人 日本周産期・新生児医学会
雑誌
日本周産期・新生児医学会雑誌 (ISSN:1348964X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.20-26, 2023 (Released:2023-05-10)
参考文献数
10

産婦人科志望の初期研修医が執刀した帝王切開の安全性と,その経験が初期研修医の心境に与える影響を検討した.2014-2019年に当院で産婦人科志望の初期研修医9名が執刀した帝王切開66例(初期研修医群)を対象とした.指導医8名が執刀した帝王切開147例(指導医群)を対照群とし臨床背景,手術情報,転帰を検討した.心的影響の評価に初期研修医へアンケート調査を行った.手術時間,執刀開始から児娩出までの所要時間の中央値は初期研修医群で83.5分と14分,指導医群は61分と7分で初期研修医群は有意に長かった.臍帯血動脈pHの中央値は初期研修医群で7.306,指導医群は7.33で初期研修医群は有意に低値であった.アンケートでは研修意欲向上や進路への影響など執刀経験による肯定的意見が多数みられた.初期研修医の帝王切開は指導医の管理下ならば安全性は許容範囲で研修意欲の向上やリクルートに寄与する可能性がある.