- 著者
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井上 誠一
小杉 千香子
陸 占国
佐藤 菊正
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
- 巻号頁・発行日
- vol.1992, no.1, pp.45-52, 1992-01-10 (Released:2011-05-30)
- 参考文献数
- 14
- 被引用文献数
-
3
[2,3]シグマトロピ-転位反応によりオリベトールモノアセタートのヒドロキシル基のオルト位にメチル-3-ブテニル=イソプロピル=スルフィドを導入した結果,ほぼ1:1の比率で2種類の生成物すなわちかアルキル体と6-アルキル体が得られた。この2種類のアルキルオリベトール誘導体を原料とし,カンナビノールの全合成を試みた。まずそれぞれをアシル化し,酸化して得られたスルポキシドのキシレン溶液を加熱還流すると,スルポキシドのβ-脱離の後,分子内Diels-Alder付加環化反応が起こり,ラクトン環を含む三環性化合物であるΔ9-テトラヒドロジベンゾ[b,d]ピラン-6-オンをシス体優勢に得た。この三環性ラクトンは,メチル化,脱水を経てカンナビノールの前駆体`証4翫テトラヒドロカンナビジオール(CBDと略記する)とabn-cis-Δ9-CBDに収率よく導かれた。このcis-Δ9-CBDにBF3触媒を作用させると,定量的にcis-Δ9-テトラヒドロカンナビノールが得られた。もう一方のabn-cis-Δ9CBDをかトルエンスルホン酸共存下ベンゼン中で加熱還流させると,71%(GC)収率(単離収率37%)でtrans-Δ8-テトラヒドロカンナビノールが得られた。