著者
小村 憲一 杉山 順子
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.75, no.4, pp.162-169, 2022 (Released:2022-03-30)
参考文献数
15

目的肛門科医院における「肛門が臭う」という主訴患者に対しての治療を報告する.対象と方法2年間で19名の患者を対象とし,肛門疾患があれば手術,薬物治療,希望者に肛門管内低周波電気刺激療法,骨盤底筋体操指導を行った.結果19名中10名に症状の改善を認めた.内訳:手術は3例に行い,全例改善した.電気刺激療法は11例に行い,肛門管内随意収縮圧が90mmHg未満の4例は骨盤底筋体操の指導も同時に行い全例改善した.肛門周囲皮膚炎,直腸瘤の1例,慢性裂肛の1例は,薬物治療で改善.肛門に何の異常も認められなかった10名中9名は改善せず,改善した1例は海外移住することで改善していた.結論肛門に器質的疾患を有する肛門が臭うという主訴患者は,手術,薬物治療を行えば,改善する可能性がある.また,肛門管内随意収縮圧が90mmHg未満の女性患者には,電気刺激療法+骨盤底筋体操指導は試みられて良い方法である.