著者
太田 知裕 小松 将三 徳武 昇
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.120, no.6, pp.409-419, 2002 (Released:2003-01-28)
参考文献数
53
被引用文献数
1 3

アレンドロネート(アレンドロン酸ナトリウム水和物;ボナロン®錠5 mg)は,骨表面に結合し破骨細胞による骨吸収を抑制する窒素含有のビスホスホネートである.第3世代のビスホスホネート化合物であるアレンドロネートは,骨吸収面に特異的に分布し,破骨細胞と骨面で形成される閉鎖環境下で,破骨細胞より分泌される酸によるpH低下(酸性)により骨面から遊離され,破骨細胞内に取り込まれる.取り込まれたアレンドロネートは,コレステロール合成系であるメバロン酸合成経路を抑制し,低分子量GTPタンパク質のプレニル化を阻害し,細胞骨格への影響などを介して破骨細胞の機能を抑制する.アレンドロネートの破骨細胞に対する骨吸収抑制作用は可逆的で,作用発現の100倍以上の濃度においても細胞障害性を示さない.長期投与でも骨石灰化抑制を起こさず,骨折治癒に影響を与えない.このことから,骨質に対して安全性が確立した骨粗鬆症治療薬である.骨粗鬆症において最も危惧される病態は,骨折を生じることである.アレンドロネートは,国内において骨密度の増加に加え,骨折の抑制効果が確認されている. 現在,閉経後や老人性の骨粗鬆症に加え,ステロイド投与など薬剤による二次性の骨粗鬆症が注目されている.この点,アレンドロネートは海外において治療効果の高い骨粗鬆症治療薬として位置付けられており,約100カ国で認可され,約450万人以上の患者に使用されている.アレンドロネートは,骨粗鬆症においてEBM(Evidence Based Medicine)の考え方をいち早く取り入れた薬剤である.本稿ではアレンドロネートの薬理作用及び臨床効果について概説する.