著者
影山 洋 中山 成一 小松 崎修
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.46, no.11, pp.912-915, 1992-11-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
16

ヘパリンによる低アルドステロン症の1例を報告する. 症例は59歳の男性, 右手の脱力を主訴に来院, 神経学的に右上肢の不全麻痺と深部反射の亢進を認めた. 入院時CTスキャンでは異常がみられなかった. 入院後右片麻痺の進行がみられたため1000U/hrのヘパリンを投与した. ヘパリン投与後7日目に血清カリウムが6.3mEq/lとなった. 血漿レニン活性, 血清コルチゾールは正常で血漿アルドステロンの低値と尿中カリウム排泄量の増加がみられた. ヘパリン投与の中止により血清カリウム, アルドステロンは正常化した. ヘパリンによる低アルドステロン血症はきわめてまれであり, 本邦では本症例が第1例と思われる