著者
福本 淳一 小松 英二 木下 哲男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. AI, 人工知能と知識処理
巻号頁・発行日
vol.95, no.76, pp.23-28, 1995-05-26
被引用文献数
1

従来の自然言語処理では,文法,辞書,語用論などをはじめとする様々な知識が利用されてきた.自然言語処理の頑健性を向上させるためには,これらの知識を用いた種々の自然言語処理機能が協調的に動作する必要がある.このような協調的システムのモデルとしてマルチエージェントモデルがある.我々は,このマルチエージェントモデルに基づいて,従来の自然言語処理システムに埋め込まれていた自然言語処理モジュール群をエージェントとして形式化し,これらエージェントの協調的動作によって頑健で効率的な自然言語処理システムについて検討を進めている.本稿では,まず,従来のシーケンシャルな自然言語処理における問題点についていくつかの例をあげ,それらの問題点を解決するための基本的な処理の枠組みについて検討する.次に,種々の知識の協調的活用という視点から頑健な自然言語処理の基本的枠組について検討し,マルチエージェントモデルに基づく自然言語処理システムのアーキテクチャについて考察する.