著者
小松加代子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部グローバルスタディーズ学科
雑誌
紀要 (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.61-74, 2014-03

宗教とソーシャル・キャピタル論の研究は、地域社会での人々のつながりが脆弱になってきた現代社会において、人々の絆を再建するための宗教の役割を考察するものとなっている。しかしながら、ソーシャル・キャピタル論には、社会的関係の中にも権力関係が存在し、弱者が強者と同じ利益を得るわけではないという点が見逃されているとジェンダー研究者から指摘をされている。本論文は、ソーシャル・キャピタル論と宗教の議論について、その方法論にある問題を指摘し、ジェンダーの視点から宗教的活動とは何かを見直す機会としたい。A recent theme being discussed in Japan is religion's place in society and its role in fostering social capital. The role of religion and its contribution in building up a strong social network is being examined. However, these debates do not discuss the power structure and minority groups within society. This paper aims to point out the problems the debates on social capital involve and suggest what religious activities mean from the perspective of gender.