著者
伊藤 俊方 小松原 岳史 佐藤 修
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.22-30, 2004-04-10 (Released:2010-02-23)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

新第三紀以降の地層が厚く分布する北部フォッサマグナ地域の深層地下水は, 化石海水を起源とするNa-Cl型地下水で代表される. 高濃度のNa-Cl型地下水が地下浅所にまで上昇してきていることもあり, 地下水の電気伝導度などを測定することにより活断層などの地質構造の把握に寄与できる.天水とほとんど混合していない強塩化物泉のCl-濃度は, 地質時代を遡るにつれて減少し, δ18Oは大きくなる傾向がある. したがってCl-濃度とδ18Oを測定することによって, どの時代の化石海水に由来したものかが想定でき, 温泉湧出母岩を判定する場合に活用できる可能性がある.