著者
菊川 忠臣 小関 一英 大松 健太郎 小林 國男
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-9, 2017-02-28 (Released:2017-02-28)
参考文献数
21

JRC蘇生ガイドライン2010に準拠した10分間のCPRを圧迫単独法で行う場合と,標準法で行う場合でのCPRの質の違いについて,CPR習熟者群(救急隊員)と非習熟者群(一般大学生)間で比較検討した。圧迫単独法は手技が容易であるが,経時的な圧迫深度の低下が標準法に比べて大きかった。標準法では非習熟者群が行う人工呼吸は習熟者群と比べて過剰換気になりやすく(p<0.01),圧迫中断時間が習熟者群に比べて長かった(p<0.01)。圧迫単独法は標準法と比べて疲労度が高い手法であった(p<0.01)。救助者が一人で長時間のCPRを行わざるを得ない場合は,圧迫深度の維持が期待できる標準法が適しているが,人工呼吸に伴う胸骨圧迫の中断時間を最小限にとどめる必要がある。