著者
廣岡 茂樹 外田 洋孝 小林 夕里子 折田 博之
出版者
日本静脈学会
雑誌
静脈学 (ISSN:09157395)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.71-77, 2013-02-25 (Released:2013-02-27)
参考文献数
34

●要 約:原発性鎖骨下静脈血栓症(Paget-Schroetter症候群)は静脈性胸郭出口症候群および特発性鎖骨下静脈血栓からなり,アルゴリズムに従った治療法が普及しつつある.3例の原発性鎖骨下静脈血栓症を保存的(血栓溶解療法,抗凝固療法)に治療し,1例は良好な鎖骨下静脈の開存を得ることができ,1例は狭窄を残したものの再開通を得ることができた.1例は鎖骨下静脈に閉塞を認めたが,豊富な側副血行路の発達を認めた.3例とも症状は完全に消失し社会復帰を果たした.本邦論文報告86例の中で,治療後の開存性の記載のある42例に関し検討し,本邦の治療の現状を概観するとともに,当院の治療方針を構築したので報告する.