著者
蜂須賀 康己 三好 明文 福原 稔之 小林 展章
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.985-989, 1997-05-25 (Released:2009-02-10)
参考文献数
14

高校の野球部の練習中に行われた,発声訓練が誘因となって発症したと思われる特発性縦隔気腫の1例を経験した.症例は15歳の男子高校生.両頸部違和感と咽頭痛を主訴に来院した.胸部X線単純写真および胸部CTにて典型的な縦隔気腫を呈し,保存的治療にて約10日で軽快した.特発性縦隔気腫は若年男性に好発する比較的稀な疾患で予後良好とされている.最近6年間における38例について,本疾患の臨床像を検討した.胸痛や呼吸困難を訴え,皮下気腫を認め,発症時に胸腔内圧が上昇するような誘因がある場合は本症を疑う必要がある.