著者
南雲 昭三郎 小林 平八郎 是沢 定之
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.1355-1368, 1969-03

1968年5月,三陸沖の微小地震活動を調べる目的をもつて三陸沖にて海底地震観測を行つていたところ,偶々1968年十勝沖地震(M=7.9)と称せられる地震が発生し,海底地震計はその本震の前数日間の前震現象を記録したことになつた.現在までの解析の結果,次のようなことが判明してきた.(1)5月11日から16日における前説の活動度は,観測点て観測された地震の中で30μkine以上の最大速度振幅を持つ地震の数の日別頻度で表わすと,約20ケ/day程度であつた.(2)この前震の地震活動変に1967年における相模湾,1957年の筑波等,他の地域の常時微小地震活動度にくらべて約10倍程度高いものである.(3)前震域は非常に広く,余震域の殆ど全域に対応しているようである.(4)これらの前震のある観測点て記録された地震動の最大振幅別頻度分布はベキ分布では表わすことが出来ない.これら微小地震の前震活動は,青森県東方沖から三陸沖にいたる日本海溝西側部において,1968年4月中旬以来統いている異常な地震活動と一連のものと考えられる.|While the ocean-bottom seismographic observation was being performed off Sanriku in May of 1968 in order to investigate the seismicity of micro-earthquakes of that area, the 1968 Tokachi-Oki Earthquake (M=7.9) happened to occur. The ocean-bottom seismographs have recorded foreshock phenomena during several days before the main shock.