著者
小林 渓紳 那須 高志
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.25-29, 2023 (Released:2023-09-01)
参考文献数
10

本研究の目的は大腿骨近位部骨折患者において,歩行の再獲得までの時期や歩行様式について,荷重率の観点から術後早期に予後予測が可能かを検討したものである。受傷前は自宅居住し,屋内外を独歩またはT-caneにて自立していた者40例を対象に年齢,性別,手術時間,麻酔時間,手術待機日数,術中出血量術,術後の生化学データをカルテから調査した。それらを術後7日目に73.8%以上の荷重率を獲得した者24例と獲得できなかった者16例の2群に分類し,2群間で各因子について比較検討した。その結果,73.8%以上の荷重率を獲得できなかった群は,術後CRP,WBCのピーク値,術後7日目の荷重時痛が有意に高値であった。そのため,術後の炎症が強い患者は受傷前歩行獲得が難しくなる可能性が示唆された。
著者
那須 高志 小林 渓紳 大堀 正明
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.40-44, 2023 (Released:2023-09-01)
参考文献数
18

【はじめに】大腿骨近位部骨折の術後患者における歩行自立度を予測する因子と,そのカットオフ値を調査することとした。【対象および方法】大腿骨近位部骨折を受傷し,手術を施行された40名において術後14日目の歩行が自立した群としなかった群で比較した。また歩行自立度を目的変数とし,年齢と荷重率と荷重時痛を説明変数とし,ロジスティック回帰分析を実施した。さらに影響を与えている説明変数に関してはROC曲線からカットオフ値を算出した。【結果】非自立群は自立群に比し荷重率が低く,荷重時痛が高かった。また術後14日の歩行自立度に影響を与えているものは荷重率で,そのカットオフ値は72.3%であった。AUCは0.86であった。【考察】荷重率は歩行自立度に影響を与えており,その予測能は高かった。以上のことから,術後7日目の荷重率を測定することで,術後14日目の歩行自立度を予測できる可能性が考えられた。
著者
那須 高志 小林 渓紳 宮崎 涼太 大堀 正明
出版者
Saitama Physical Therapy Association
雑誌
理学療法 - 臨床・研究・教育 (ISSN:1880893X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.25-27, 2022 (Released:2022-06-04)
参考文献数
11

【はじめに】大腿骨近位部骨折を呈し,人工骨頭置換術または骨接合術を施行後,早期に術後7日目の荷重時痛を予測する因子を検討した。【方法】当院にて手術を施行された大腿骨近位部骨折26名,人工骨頭置換術12名と骨接合術14名であった。調査項目は基本情報の年齢・手術時の出血量,血液生化学検査のCRP・CK・Hbの術後3日以内のピーク値とした。荷重時痛は術後7日目の最大荷重時の痛みをNRSを用いて評価した。【結果】人工骨頭置換術群は骨接合術群よりも有意に出血量が多かった。疼痛と各因子の関係性は,人工骨頭置換術群は出血量に強い正の相関が,骨接合術群はHbに中等度の負の相関がみられた。【考察】人工骨頭置換術は展開が大きいため創外出血を反映する出血量が,展開の小さな骨接合術は創内出血を反映したであろうHbが荷重時痛と相関を認めたと考えた。