著者
小林由紀子 石井 有理 寺本 祐之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.46-53, 2019-02-01 (Released:2019-05-17)
参考文献数
15

【目的】社員食堂における減塩食と減塩に関する情報の提供が健常者の24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)におよぼす影響を検討する。【方法】試験は単群オープン試験とし,株式会社ファンケルの社員で20~65歳の健常な男女20名に,減塩に関する情報提供を実施し,1食当たり食塩量 2 g以下の減塩食を9週間,平日の昼食に社員食堂で摂取させた。主要評価項目を24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)とし,塩味認知閾値および好みの食塩濃度を副次評価項目とした。【結果】24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)は介入前 9.8 g/dayと比較して3週間後 6.8 g/day(p=0.001),9週間後 6.0 g/day(p<0.001)といずれも有意な低下であった。また,塩味認知閾値は,介入前0.136%と比較して3週間後は0.085%(p=0.008),9週間後は0.084%(p=0.012)といずれも有意に低下した。好みの食塩濃度についても,介入前0.63%と比較して3週間後0.50%(p=0.002),9週間後0.40%(p<0.001)はいずれも有意な低下であった。【結論】減塩食と減塩に関する情報の提供は,24時間尿中Na排泄量(食塩換算量)の低下と塩味に対する味覚感度の改善に有用であることが示唆された。