- 著者
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小柳 ルミ子
板垣 円
土橋 祐子
渡辺 式
浜田 美幸
- 出版者
- THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
- 雑誌
- 日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.4, pp.513-517, 2010-11-30
近年多くの施設でインシデント報告システムが確立され,インシデントに基づいた様々な対策がとられている。当病棟では平成20年4月から6月の3か月間で36件のインシデントが報告されている。その中で確認不足によるインシデントが15件と全体の41.6%を占めた。従来,当病棟ではインシデント発生後に対策を立て事故防止に努めてきた。しかしインシデント発生後の時間経過と共に意識が薄れ同じミスを繰り返してしまうことから,事故防止に対する意識を維持できるような働きがけが必要であると感じた。そこで確認不足によるインシデントに着目し,朝の申し送り10分間の時間を活用して患者認証,注射確認,与薬確認,針の取り扱いなどの対策方法を,スタッフによるロールプレイや質問形式で繰り返し再学習していった。その結果,事故防止の振り返り実施後3か月間の確認不足によるインシデントは7件と減少した。スタッフへのアンケートでは,再学習による事故防止の振り返りは事故防止に対する意識を高めると全員が回答していることから,意識改革に有効であったと考える。さらに朝の10分間の時間を活用したことで記憶がしっかり残ったまま業務に入ることができたこともインシデントの減少につながったのではないかと考える。