著者
小椋 陽介
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.683-693, 1978-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
46

腎がカルシウム調節ホルモンの一つである活性型ビタミンDとくに1, 25-(OH)3-D3を産生することが明らかにされてから,慢性腎不全に合併するカルシウム代謝異常とくに骨病変の解明は大きく進展した.すなわち慢性腎不全では,腎での1, 25-(OH)2-D3が産生が低下し,これが腎性骨病変の重要な因子と考えられ,その治療には, 1.25-(OH)2-D3そのものを補充するか,または腎での反応を必要とせずに活性型ビタミンDとなるアナログが開発され,臨床応用が検討されるようになつた,しかし,これで解決したように思われた腎不全におけるカルシウム代謝異常の治療も, 1, 25-(OH)2-D3に対する無反応を示す例もみい出されるようになり, 1, 25-(OH)-D3以外のビタミンD代謝物の役割についても関心がもたれつつある.