- 著者
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贄 育子
小河 達之
- 出版者
- ヒューマンケア研究学会
- 雑誌
- ヒューマンケア研究学会誌 = Journal of Japanese Society of Human Caring Research
- 巻号頁・発行日
- vol.7, no.1, pp.29-35, 2015-09-30
リプロダクティブ・ヘルス/ライツ実現への示唆を得るため、人工妊娠中絶の法規制に関する女性の意識調査を実施した。20~24 歳の女性、妊娠中の女性及び出産経験をもつ女性を対象に、母体保護法と刑法堕胎罪に関する認知、人の始期、母体と胎児の権利の優位性について調査した。その結果、母体保護法に比べて、堕胎罪に関する認知が低い一方で、その存続を望む割合が高かった。その理由は、生命の尊厳を守るためという回答が最も多かった。また、受精直後を人の始期と考えている割合が最も高かったが、母体よりも胎児の権利を優位とする割合は低かった。生命の尊厳という倫理観はもっているものの、法制度の認知度を鑑みると、女性が自らの身体やそれをめぐる法整備について関心を持ち行動しているようには考え難く、そのような機会も乏しいと推察し得る。以上のことから、リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する教育の必要性が示唆された。