- 著者
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小河内 葉子
- 出版者
- 明治大学大学院
- 雑誌
- 法学研究論集 (ISSN:13409131)
- 巻号頁・発行日
- no.30, pp.215-233, 2008
介護保険制度が施行されて以来8年が経過している。介護保険制度については、制度施行当初から様々な問題点が指摘されている。特に介護現場で事故が生じた場合の対応である。介護事故に関する判例の件数が多いわけではなく、裁判に至るまで発展したものは事故事例のごく一部である。しかし、裁判所の判断も数々の問題点が指摘されている。本論文では日本における介護事故の裁判例に対して提起される問題点を検討し、近年強化されている品質保証の内容及びドイツでは介護事故の責任を負う者について裁判所がどのように判断しているか、及びわが国で指摘される問題点がドイツでも生じているかにつき検討した後、今後の日本における制度の方向性を考察する。