著者
小渕 隆司
出版者
全国障害者問題研究会
雑誌
障害者問題研究 (ISSN:03884155)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.298-307, 2007-02
被引用文献数
2

1歳6ヵ月児健診で経過観察となった児の乳幼児健診時に親から出された心配事について、自閉症群、高機能広汎性発達障害群、高機能広汎性発達障害サスペクト群、発達改善群の4群で心配事の内容について比較検討した。心配事は睡眠・生活リズム、食事、行動に3分類(大分類)できた。さらに大分類は感覚の指標などにより下位分類できた。大分類の(1)4ヵ月時の行動、3歳時の睡眠・生活リズム、行動に関する心配事が自閉症の、(2)3歳時の行動に関する心配事が高機能広汎性発達障害の予兆である可能性を指摘した。下位分類では(1)1歳6ヵ月時の「周囲への関心、自発的行動」、3歳時の「生活リズム」「姿勢・情動」「意図、意味理解の問題(ランドルト視力環検査)」が自閉症の、(2)3歳時の「口腔内の感覚、嚥下、咀嚼の問題」「周囲への関心、自発的行動」「意図、意味理解の問題(ランドルト視力環検査)」が高機能広汎性発達障害の予兆である可能性を指摘した。これらの予兆を踏まえ、育児に関係した事柄で養育者とつながりをもつことは、早期からの支援の糸口になる。