著者
小滝 一彦
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

ベッカーによる人的資本論では、若い時は賃金が生産性より高く、訓練後は賃金より生産性が高いと考えている。一方、ラジアーらは賃金を後払いにすることで、若い労働者の賃金は生産性より低く、退職間近の労働者では賃金のほうが生産性より高いと考えた。この研究では標準的な生産関数を用い、賃金や生産性などの人的資本も標準的なミンサー型の関数を用い、両者を企業単位で線形関数として統合し、パネル固定効果分析を行える関数型を確立した。データ分析の結果、若い労働者の賃金は生産性よりも高いがまもなく逆転する。一方、賃金と生産性は中高年期の労働者で再び逆転し、退職間近の労働者では再び賃金が生産性よりも高くなる。