著者
吉岡 邦彦 青木 啓介 坂本 英雄 久留 優子 小澤 祐 小池 慎 伊関 亮
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.254-257, 2020

<p> 術式によらず, 熟練した手術チーム (術者, 助手, 麻酔科, および看護師等手術室スタッフ) を固定して手術を施行する事で安全性が高まることは周知の事実である. ロボット支援手術も同様で, 術者のみのSolo Surgeryではなく, 短時間で安全な手術を目指すには術者の技量はもとより優秀な手術チームが必要であり, その中でも助手は最も重要な役割を担う. ロボット支援手術において, 助手の技量・経験の多寡が手術成績に影響するか否かは議論が分かれるが, 術者が熟練者であれば助手の技量によらず周術期アウトカムが大きく損なわれることはない. しかし, 助手の技量が拙い場合, 手術時間は有意に長くなり周術期合併症の発生につながる可能性がある. また, 特に勃起神経温存術や拡大リンパ節郭清等の高度な技術を要する手術操作では術者が術式を微妙に変えることを余儀なくされることで, 長期的にはデメリットを受ける症例の存在が危惧される. 一方, 術者が導入期の場合, 助手の技量は周術期成績のみならず機能温存や癌制御全般に影響する可能性がある.</p><p> ロボット支援手術における助手は, 術者の快適な手術操作のサポートのみならず, 執刀医から離れている患者側の安全管理, および機械操作の責任者かつ手術室のムードメーカーとしての役割を持つ. 術前の準備として, 助手は術者と同等の手術解剖の知識と, 目指す術式の詳細を理解すべく, 術者と共通の文献やDVDを用いてイメージトレーニングに励むべきである. 術直前には, 術者と手術各ステップにおける詳細な打ち合わせを行うとともに, ダビンチ<sup>TM</sup>機械操作の基本的事項を再確認する必要がある. 自施設で実機を用いた訓練が不可能な場合はトレーニング施設を活用する. また看護師, ME等手術室スタッフとも患者入室から退室までの手術の流れを共有し, 術中に孤立しがちな術者と手術室スタッフとの橋渡しをするチームの要たる自覚を持つことが肝要である. 特に導入期には, 助手の操作は手術成績に影響するという意識を持って手術に臨むべく準備を怠らない事が重要である.</p>
著者
小澤 祐也 中野 圭介
雑誌
情報処理学会論文誌プログラミング(PRO) (ISSN:18827802)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.12, 2019-05-21

定理証明支援系Coqでは,無限に続くリストのような余帰納的構造を持つデータについての証明を,タクティクと呼ばれるコマンドを用いて進めることができる.ただ,Coqでは無限のデータや証明をそのまま扱うことはできないため,再帰的な表現による有限の形で表している.このような無限のデータや証明は再帰関数として表現されるため,意味のないループの形でないという,ガード条件の検査(guardedness check)が証明の最後に行われている.このため証明全体を走査するために時間がかかってしまうという問題や,途中でガード条件が成立しなくなっていてもユーザは証明の最後の検査まで気づくことができないという問題がある.Coqには証明途中でガード条件の検査を行うGuardedコマンドが存在するが,これもそれまでの証明全体を走査するために,タクティクごとに実行すると時間効率が悪い.そこで本発表では,Coqにおける余帰納的証明のガード条件の検査を証明中に少しずつ行い,ガード条件が成立しなくなった際,即座にユーザに知らせることができるような手法を提案する.本手法ではタクティクの実行ごとに新しく作られた部分の証明のみを取得し,その部分的な証明に対してガード条件の検査を行う.検査を行った後は,その時点での環境やゴールのIDなどの情報を保持しておき,次回のタクティク実行時のガード条件の検査に用いる.