著者
小澤 義昭
出版者
日本監査研究学会
雑誌
現代監査 (ISSN:18832377)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.23, pp.132-142, 2013

<p></p><p>近年,欧米を中心に職業的懐疑心の在り方が改めて問われており,規制当局と監査事務所の間で議論が重ねられている。この職業的懐疑心に係る議論の内容を公表されている資料等に基づき,時系列的に規制当局の立場と監査事務所側のそれぞれの立場から,英国の議論を中心に整理を行った。そして,規制当局が何をもって監査事務所の職業的懐疑心の欠如を憂慮し,どのような改善を求めているのか,それに対して,監査事務所はどのように反論し,グローバルベースでどのように対処しようとしているのかについて考察を行った。更に,この目に見えない職業的懐疑心に対して,規制当局は具体的にどのような実務的対応を監査人,監査チーム及び監査事務所に求めているのかを見ていくことにより,規制当局が求めている「正しい職業的懐疑心の発揮」とは何かを 筆者の35年間の監査実務経験を踏まえて,明らかにしていった。そして,最後に我が国監査実務に与える影響について検討した。</p>