著者
小畑 修一 西川 俊 高橋 秀知
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.1-11, 1985
被引用文献数
2

テレビ画面への字幕挿入に際しての文字量や表示時間は、番組の性格や見る人によって異なるものと言われる。現在、聴覚障害者のための文字多重放送では、画面や電子技術上の制約もあって台詞は要約で提示されている。しかし、台詞に忠実な字幕挿入は原作の意図を一層忠実に反映するばかりでなく、口形の動きとの対応が出来ることや字幕挿入の自動化が目ざせること等から極めて重要である。このため、先きに開発した簡便で文字量の調整出来る字幕挿入装置の改良と、各種番組の文字量や表示時間の分析に基づく字幕挿入の数量的範囲の検討とによって、台詞に忠実に字幕が挿入されたビデオを作成して効果を測定することにした。その結果、文字量は画面当り16字2行(32字)で、秒当り4.8字以下を目安とすることが示唆されたので、NHKドラマ「おしん」に字幕を忠実に挿入したビデオを作成し、聾学校専攻科生に提示した所、要約挿入を上まわる成果を得た。
著者
石原 保志 塚越 浩和 西川 俊 小畑 修一
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.25-37, 1989
被引用文献数
1

聴覚障害児の教育現場で字幕入りテレビ番組を利用する際に、字幕の文字量と呈示時間は内容理解に大きな影響を及ぼすと考えられる。本研究では、字幕読み取りと映像注視の時間を確保するための方法として、呈示時間を延長した場合の有効性を、字幕の文字量、番組の性質、視聴者の読書力との関連で検討した。対象は聾学校中学部、高等部生徒とし、呈示時間延長の方法としてスロー呈示、交互呈示の2方法を取り上げた。その結果、次のことが明らかになった。(1)ドラマのように人物の心情の推移が内容展開の中心となる番組では、文字量の確保が重要な意味をもつ。(2)ドキュメンタリーのように場面当たりの文字量にあまり差がない番組では、全体の文字量が多い場合、呈示時間延長の効果がある。(3)理科実験番組では、呈示時間を延長し字幕と映像を集中して見させることが内容理解を局める。