著者
小笠原 貞夫 高橋 茂行 深井 彰 中田 泰雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.10, pp.2244-2247, 1969-10-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
6

各種金属酸化物を用いてプロピレンを気相接触酸化し,アセトンの直接合成反応を検討した。原料ガスとしてプロピレン,空気および水を用い,反応は常圧流通式固定床反応管を用いて行なった。アルミナに担持させたMo,Cu,V,Cr,Wの各酸化物の順にアセトン合成活性を認めたが, 特に, MoO3-Al2O3-触媒は選択的にアセトン合成活性を示すことがわかった。シリカやアルミニウムスポンジに含浸させた酸化モリブデンはアセトン合成活性を示さないが,アルミナに担持させると活性は著しく向上し,この触媒は酸化モリブデンとアルミナの二元機能触媒であることが帰納された。原料ガス中の水は燃焼反応を抑制し,生成物中に微量のイソプロピルアルコールや水素が存在することから,この反応はイソプロピルアルコールを経由する酸化脱水素反応であると考えられる。担体アルミナに対し,酸化モリブデン含量は約20wt%以上でほぼ一定の活性となる。最適反応温度は約300℃であり,使用触媒は500℃で空気により再生が可能であった。