著者
小笹 祥子
出版者
青梅重立第三中学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

中学生の性意識と性行動を、携帯電話にスポットを当てその関係性を調査した。本研究は一般中学生502人を対象とした。質問紙による調査とインタビューを実施した。質問紙による調査は、自己記入記名式で実施した。調査項目は、携帯電話に関する項目、性意識に関する項目とした。携帯電話に関する項目は、予備調査を実施し項目決定をしだ。性意識の関する調査は、第6回青少年の性行動全国調査を参考に決定した。携帯電話は調査対象者の58%が所有している。男女の比較では女子の所有率が高い。携帯はメール利用が多く、一日の送信回数は30回以上、返信までの時間は30分以内、メールの返事が返ってこないとイライラする、携帯が手元にないと不安、と携帯に依存している傾向が示唆される。記名式質問紙調査のため性意識のみ調査しだ。結婚願望は高学年になるほど高率になるご結婚後の役割分担は学年、男女に大きな差は見られない。インタビュー調査から得られた結果から、男女交際に必要なツールとして携帯は不可欠であり、男女交際のコミュニケーション方法としてメールの重要度が高いと示唆された。携帯への依存傾向は質問紙調査でも示唆されているが、メール返信時間、返信回数、メール送信回数が男女交際の安定性に影響している。メール返信がない場合は、振られた、嫌われた、どうしよう等の不安感情と、むかつく、イラつく等の怒り感情が喚起されやすい。また、プログに交際状況を記載し、交際状況をオープンにする傾向もうかがわれる。結婚願望は、携帯高頻度使用群が高いと示唆された。
著者
小笹 祥子
出版者
八王子市立第十小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

研究目的 学校現場においてリストカット,根性焼きなどの自傷行為は特別なことではない。自傷行為生徒への早期働きかけが可能なのは,養育者以外では教員となる可能性が高い。そこで,教育の場である学校の特性と限界を念頭に置いた支援方法の構築が必要と考えられる。教育現場における,自傷行為生徒への適切な対応を阻害する要因を質的に分析し,その阻害要因の対策を検討し,教育現場で実施できる自傷行為生徒への支援方法を開発することを目的とする。研究方法 本研究は,一般中学校に勤務する教員を対象とし、自傷行為生徒への対応について,自由記述方式によるアンケート調査,インタビュー調査により質的に分析した。質的に分析した結果から,阻害要因を抽出・分析し,自傷行為生徒本人,家族・学校組織を含む環境要因への支援を検討した。インタビュー調査は、夏期休業中期間に、研究者が研究者と親交のある公立中学校へ出向き、その中学校に勤務する教員7名に実施した。インタビュー内容の分析・支援方法の開発においては、事例検討会開催、児童精神科医師、心理士より専門的知識提供を受けた。研究成果 インタビュー調査内容の分析より、1)教員は生徒に相談されるとうれしいと感じること。2)授業中に周囲に周知されるようにリストカットをする生徒がいること。3)学校だけでは抱えきれないと強く感じていることの3点が明らかになった。教員が実施する支援においては、生徒個人と集団への教育的支援方法を開発する必要がある。支援においては、自傷行為の基礎知識、校内の相談・セスメント窓口、教員集団の連携が必要である。今年度は、専門家による自傷行為の講演、アセスメントシートを活用し学校の限界設定を念頭に置き生徒支援を実施した。課題として、より詳細な一般教員の自傷行為をする生徒への対応の調査を実施し、教員・学校の特性をふまえた支援方法を汎化する必要がある。