著者
小菅 詔雄 矢野 彰一郎 金丸 競
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子化學 (ISSN:00232556)
巻号頁・発行日
vol.28, no.317, pp.719-724,769, 1971-09-25 (Released:2010-10-14)
参考文献数
17
被引用文献数
2

ビスフェノールA/ポリアミン型エポキシ樹脂の動的粘弾性をTBA (Torsional Braid Analysis) を用いて測定した。硬化条件の異なる試料の温度分散曲線から樹脂の硬化度を推定し, 硬化反応について検討を加えた。さらにポリアミン硬化剤の分子鎖長を変えて粘弾性の温度特性に対する効果も検討した。その結果, ビスフェノールA型/ポリアミン系エポキシ樹脂の粘弾性の温度特性は硬化条件や測定時の昇温速度によって大きく影響される。とくに不完全硬化樹脂のガラス転移温度 (T0) は硬化温度や硬化時間の増加に比例して上昇する。また完全硬化樹脂のT0は網目構造中のジアミン部分における橋かけ点間のメチレン基数について直線関係が成立した。完全硬化樹脂のゴム状態における剛性率よりTobolskyのゴム弾性の状態式中のフロント係数 (φ) を求めた。φ は硬化剤の分子鎖長が大きくなると減少する傾向にあった。同じ組成の樹脂を鋼の接着剤に用いて, 測定時の温度の影響を知るために引張り強度試験を行なった。完全硬化した接着剤のT0以上の温度領域では接着強度がアレニウス型の温度依存性を示し, みかけの活性化エネルギーは脂肪族ポリアミン系硬化剤を用いたときに18kcal/mol, 芳香族ジアミンでは11kcal/molとなった。