著者
小西 一朗 上田 順彦
出版者
Japanese College of Surgeons
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.1032-1034, 1998-12-25
参考文献数
7
被引用文献数
2

成人では稀な仙骨前部epidermoid cystの1例を経験し報告した。患者は42歳, 男性。主訴はなく, 尿管結石治療中のCT検査にて偶然仙骨前部の腫瘤が発見された。CT像では, 仙骨前面で直腸左後方に約4cmの腫瘤を認め, MRIではT1強調像で低信号, T2強調像でやや高信号の腫瘤像を認めた。直腸指診, 下部消化管検査で異常は認めなかった。経仙骨的に, 尾骨とともに腫瘤摘出術を施行した。内容物は灰白色のカニミソ状のもので, 細菌培養は陰性であった。組織学的に, 内壁は重層扁平上皮で構成され, 処々で異物巨細胞を伴う肉芽反応巣をみるが, 皮膚付属器などは認められず, epidermoid cystと診断された。術後3年を経て再発は認めていない。