著者
上田 渉 大川 清孝 青木 哲哉 佐野 弘治 田中 敏宏 小谷 晃平 松井 佐織 会澤 信弘 川崎 靖子 斐 英洙 井上 健 平井 学 川島 篤
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1983-1991, 2008-12-25

要旨 患者は34歳の男性.当初回腸末端の不整形潰瘍,結腸の類円形潰瘍,縦走潰瘍からCrohn病を疑われた.steroid使用にて一時症状は軽快するが狭窄を呈し手術が施行された.その後も約1年にわたり発熱,腹痛が持続.播種性血管内凝固症候群で緊急入院した際,異常な抗Epstein-Barr virus(EBV)抗体価と血中EBVの増加から慢性活動性EBV感染症(chronic active EBV infection ; CAEBV)と診断した.CAEBVは数か月以上伝染性単核球症様の症状が持続し,5年で約半数が致死的となる疾患である.本症例はCrohn病類似の腸病変を呈したこと,steroidで一時症状が軽減したことで診断に難渋した.Crohn病と診断された症例でも不明熱が持続する場合はCAEBVの消化管病変の可能性も考え,EBVの検索をすることが必要であると考えられた.
著者
大川 清孝 上田 渉 佐野 弘治 有本 雄貴 久保 勇記 井上 健 田中 敏宏 松井 佐織 小谷 晃平 青木 哲哉
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1103-1108, 2011 (Released:2011-06-14)
参考文献数
10

5日間の便秘後と下剤服用後に発症した一過性型虚血性直腸炎の2例を経験した.腹部大動脈手術,骨盤内手術,膠原病・血管炎,動静脈廔などはなく腸管側因子が主因で発症したと考えられた.いずれも肛門直上にも病変がみられた.著明なCRP上昇がみられたが保存的治療にて速やかに改善した.虚血性直腸炎は血管側因子が主因でおこると考えられていたが,腸管側因子が主因で発症することもあることを示した点で貴重な症例と考えられた.