著者
小野 宏明
出版者
奈良大学大学院
雑誌
奈良大学大学院研究年報 (ISSN:13420453)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.186-192, 1998-03

現代の日本において恋愛や性に関する問題は欧米の諸外国に比べてまだまだタブーとされており、公衆の面前で話をされることは少なく、稀である。仮に話をされることがあるとしても、主として異性愛(ヘテロセクシュアル)を中心として展開される。しかし恋愛や性の形は決して1つではない。恋愛や性について語るとき、近年注目されている同性愛(ホモセクシュアル)の問題を抜きに考えることは出来ない。そこで私は「現代における恋愛と性」をテーマとし、なかでも特に同性愛に注目し、異性愛との実証的な比較研究を中心として本論文のテーマを明らかにする事を目的とした。本論文を展開するにあたり、まず同性愛というものがどういったものであるのかを明確にする必要がある。そのために過去、日本において同性愛とはどのようなものであったか、日本の社会の中でどういった位置づけにあったのか、それが現代ではどのように状況が変化したのかといったことを述べている。そしてそれを明確に打ち出した上で、具体的に現在では同性愛者と異性愛者ではその行動や考え、そしてイメージなどにどのような違いもしくは類似点が見られるのかといった疑問点を、理論を交えて2通りの調査(質問紙、ライフヒストリー)の結果をもとに考察し、最終的に結論とした。