著者
小野 麻由子
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.32-42, 2020 (Released:2020-08-19)
参考文献数
17

【目的】地域包括ケアシステムにおける看護職の在宅シフト支援コンピテンシーを明らかにし,その尺度の開発,並びに信頼性・妥当性を検証する.【方法】在宅シフトを可能にする看護職のコンピテンシーについてインタビュー調査し,退院支援に関する文献レビューの結果と統合して質問項目の原案を作成した.その後,エキスパートパネルでの検討,パイロットスタディを経て質問紙を完成させ,全国の看護職1,348名を対象として調査を行った.信頼性はCronbachのα係数の算出及び再テスト法を実施した.妥当性は,「退院支援看護師の個別支援における職務行動遂行能力評価尺度」との相関係数の算出による併存妥当性,因子分析結果から構成概念妥当性を検証した.【結果】全国調査は,有効回答614(45.5%)を分析対象とした.本尺度は,第1因子「在宅シフトに向けた最適化」,第2因子「患者・家族を主軸とした連携」,第3因子「患者・家族の価値観を尊重した専門的アセスメントと実践」,第4因子「目標達成に向けたプランニング」の4因子35項目で生成された.尺度全体のCronbachのα係数は0.963,再テスト法の相関はr=0.682であった.また,「退院支援看護師の個別支援における職務行動遂行能力評価尺度」との相関はr=0.768であり,抽出された因子と質問紙原案の構成概念との一致状況や各因子の構造が確認できた.【結論】本尺度は4因子35項目で構成され,信頼性と妥当性があることが確認できた.