- 著者
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所 安夫
小金澤 滋
- 出版者
- 一般財団法人 日本消化器病学会
- 雑誌
- 日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
- 巻号頁・発行日
- vol.73, no.8, pp.972-985, 1976 (Released:2007-12-26)
- 参考文献数
- 60
- 被引用文献数
-
3
日本住血吸虫症に随伴した直腸癌及びS状結腸巨大ポリープ集落の各1例を資料とし, 前者標本全域の虫卵の分布を算え, 且癌境界部の粘膜の厚さと組成とを測定し, 計測病理組織学見地より若干の考察を企てた. 1) 虫卵は癌巣内及びそれより肛門側に皆無, 2) 粘膜下層全体の虫卵と直腸全体のそれと略等しい, 3)虫卵による異物炎は殆んどない, 4) 虫卵と上皮腺の増殖とは特に関係せぬ. 5) 癌境界域の組成と厚さとは全周で極めて不整, 6) 6mmの厚さは全て癌巣よりなるが4mm~2mmは正常粘膜内又は下に入りこんだ癌との総和である, 7) 癌の側方伸展は甚だ強烈, 8) 癌化腺と非癌腺との境は常に鋭利且鮮明, 癌化の過程を実像として追跡不可能, 9) 境界部も虫卵に乏しい, 10) 粘膜腺増殖は全く非特異的, 11) 随伴癌成り立ちの因果性は薄弱.