著者
小関 由美
出版者
東京女子医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

関節リウマチ(RA)に合併する続発性(AA)アミロイドーシスでは、血清アミロイドA(SAA)に由来するアミロイドA蛋白が臓器に沈着するSAAはCRPと同様にIL-1、IL-6、TNF-αなどの炎症性サイトカイン刺激により主に肝細胞で産生されるが、RA患者や培養肝細胞においてステロイドに対するSAAとCRP産生には違いがあることが示唆されている。より有効にSAA産生を抑制する薬剤を検討するため、各薬剤で治療中のRA患者でSAAとCRPを測定し、培養肝細胞を用いてSAAとCRP産生に与えるステロイド薬および免疫抑制薬の影響を蛋白レベル、mRNAレベルで解析した。CRP遺伝子には多型はなくSAA/CRP比は一定の炎症刺激に対するSAA産生を示すと考えられる。283例のRA患者でSAA/CRP比と薬剤の関係をみると、SAA/CRP比はステロイド投与群で有意に高く(7.8±7.2 vs 3.3±2.8,P<0.001)、ステロイド投与量と正の相関を示した。ステロイド非使用患者で、抗リウマチ薬(メトトレキサート、スルファサラジン、SH基剤)服用の有無とSAA/CRP比を検討したところ、いずれも有意差はみられなかったが、メトトレキサート使用患者で低い傾向があった。サイトカイン刺激HepG2細胞に薬剤を添加し採取した培養上清のCRP濃度は、ステロイド、MTX、シクロフォスファミド添加にて、いずれも薬剤無添加に比べ低くなり、SAA濃度はMTX、シクロフォスファミド単独の添加とステロイドとの併用では薬剤無添加に比べ低かったが、ステロイド単独の添加では高値となった。HepG2細胞より抽出したSAA1mRNAの発現はサイトカイン刺激前はみられず、刺激にて発現を認めた。またステロイドの添加でmRNAの発現は増加したが、免疫抑制薬(特にMTX)の添加では発現は低下した。