著者
小黒 浩司
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.2-12, 2005

満鉄が沿線附属地で経営した小学校の読書指導・学校図書館担当者の研修組織として,1934年度児童読物研究会が発足した。この研究会では,新刊・既刊の児童図書の推薦,学校図書館運営指針の作成,指針に基づいた学校図書館経営の実践と検証などが行われた。
著者
奥泉 和久 小黒 浩司
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.158-167, 2003-09-01

敗戦直後の青年会活動は戦前の活動の延長線上にあった。青年会図書館も同様であり,長野県下伊那郡上郷村では,戦後,青年会に図書館運営が委託されたものの,図書館長には国民学校長が充てられるなど戦前の図書館運営を踏襲していた。ところが,上郷図書館に村の診療所が併設され,青年たちの図書館活動は大きな制約を受けることになった。この頃青年会では自主的な図書館運営をめざすべきだとの議論が起こり,青年たちは図書館を自らのものとし,図書館を診療所から独立させるための運動をすすめることになった。青年たちは,図書館を本来の姿に取り戻すため,民主化運動の一環としてこの運動をとらえ,図書館長の選任についても議論を重ね,図書館規程を改正するなど自主的な管理・運営体制を実現した。また,青年たちはこの運動をとおして,図書館の運営主体であると同時に,図書館を維持・発展させるため,自ら読書をしたり議論し交流する場を求める,いわば利用者としての主体を形成していく必要性を明らかにした。
著者
小黒 浩司
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.174-184, 2009-09-01
被引用文献数
1

長野県上田市立上田図書館には,1925年以来書き継がれてきた同館の『日誌』がある。本稿ではこの『日誌』に見える発禁図書没収の記録を中心に,長野県内他館の記録などを用いて,戦前・戦中期の図書館統制の歴史を検証した。その結果,図書館に対する統制は,1930年代に入って次第に強化されたことを明らかにした。さらに1940年代になって大量処分が繰り返され,図書館に対しても極めてきびしい取締りが行なわれたことを論証した。