著者
尹 秀麗
出版者
一橋大学
雑誌
一橋社会科学 (ISSN:18814956)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.151-181, 2008-06

本論文では、大連市の行政区域をAブロックとBブロックに分けて、Aブロックの主要市部を中心に、生活ごみの処理現状を明らかにし、ごみ処理の有料化政策やごみの焼却処理を導入する是非を検討した。大連市では生活ごみの処理は埋立法を中心として行なわれており、ごみには生ごみや埋立ごみ(無機物質)は大半を占めているため、「高水分・低カロリー」という性格を持っている。ごみ分別が普及しないため、資源物の混入率が高く、地域ごとにごみ組成の相異が存在している。ごみ処理の有料化を、ハルビン市及び日本の日野市との比較を通して考察した。大連市ではごみ処理有料化の導入はごみの減量化を図るというよりは、ごみ処理にかかるコストの住民負担を意図したものである。大連市の現状では、ごみの焼却処理やごみ処理の有料化を安易に導入するよりも、ごみ分別の徹底、生ごみのリサイクル、リサイクル資源の回収などを優先して実施する必要性を指摘した。