著者
尾室 拓史
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.19-32, 2022 (Released:2023-03-31)
参考文献数
23

日本において店頭におけるキャッシュレスの普及が見られつつあるものの、キャッシュレス利用時に使いすぎを懸念する生活者が一定数いることが指摘されている。このため、今後のキャッシュレスのあり方を議論するうえでは、実際にキャッシュレスの利用がどのように使いすぎにつながってしまうのか、ということを把握したうえで、生活者にとって望ましいキャッシュレスとの向き合い方を含めて検討していくことが望ましい。これを踏まえ本稿は、キャッシュレス利用時に、現金利用時と比べて購買が促進される効果(購買促進効果)の現れ方が、利用するキャッシュレスサービスやポイント還元率、個人属性の差異によりどの程度異なるのか、ということについて検討を行ったものである。マクドナルドおよびスターバックスの顧客を対象として検討を行った結果、タッチ式やコード式による購買促進効果の現れ方の差異は確認できなかったが、ポイント還元率が高いほど、また、年齢が高い人ほど購買促進効果が現れやすいこと等が分かった。