- 著者
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尾崎 タイヨ
- 巻号頁・発行日
- no.8, pp.27-53, 2019-03-10
本分析は所得格差を中心に、各種政策がどのような特徴を持ち、影響をもたらすか、マクロモデルを構築して実証的に明らかにする。格差を対象とする分析では、家計における消費、収入等の構造が所得階級によって異なることをモデルに内生化する必要があり、「家計調査」の所得階級別データに依拠しながら、世帯を単位として階級別世帯収入、有業者数などを推計し、消費支出や労働供給を定式化する。一方、企業の分析では「法人企業統計調査」に依拠しながら、生産・販売、賃金や雇用の決定、投資等を製造業、非製造業に区分して定式化する。これらは、家計、マクロ経済と相互にリンクし、雇用、消費、GDPなどを決定する。このモデルを使って、最低賃金の引き上げ、教育費無償化、女性の労働参画、医療費負担軽減、従来型の公共投資政策という5つの政策を検証し、これらの政策が世帯収入、賃金、消費支出、GDP、雇用、格差にどう関わるかを評価する。