- 著者
-
尾崎 幸仁
- 出版者
- 大阪府立園芸高等学校
- 雑誌
- 奨励研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
○研究目的 ミツバチの利用する植物を、巣に持ち帰る花粉荷より同定し、周囲の利用植物の分布を調査する。この結果をGISを使用して地図化し、ミツバチ利用植物マップを作成して、生き物(ミツバチ)の生育し易い環境(緑環境)かどうか、またミツバチの行動特性を調べる事を目的とした。○研究方法 池田市において2箇所の地点で養蜂を行いながら、ミツバチ利用植物を調べた。方法として、ミツバチが持ち帰る花粉荷を定期的に採取して、花粉を色・形状(粉質・粘質)で分類して、顕微鏡写真を撮影(電子顕微鏡を使用)し記録した。また同時期に開花しており、ミツバチが訪花している植物の花粉を採集し顕微鏡で写真をとり記録した。この写真をベースにしてミツバチ荷の植物(利用植物)名を同定して、GISを使用したミツバチ利用植物の分布地図の作成を行う。今回の研究では、調査範囲を巣の置いてある本校を中心にして、研究場所から半径1kmの範囲の利用植物を調べた。○研究成果 5月~6月にかけてミツバチの持ち帰る植物花粉荷は多種類になり、利用植物を同定する事が難しかった。特に予想した植物をあまり利用しておらず、GISを使用して、ミツバチ利用植物マップを作成出来なかった。今回の研究で解ってきたこととして、(1)ミツバチは巣の周りの植物を、流蜜量が少なくても利用する傾向がある。(2)5月半から7月上旬まで優先種として長期間にわたり持ち帰る、こげ茶色の花粉荷はクローバーである事が判明した。クローバーの花粉は、花にあるときは透明に近い色であるが、巣に持ち帰る時はこげ茶色になる事が解った。植物の分布について本校より南に1kmのところにある大阪国際空港の可能を推察しているが、調査許可が下りず調べる事は出来なかった。(3)9月中旬より半月程,黄色でウリ科の植物の花粉荷が見つかり、本校より西に1kmのところを流れる猪名川河川敷に生育しているアレチウリの可能性が推察された。アレチウリは特定外来生物に指定された植物であるが、この河川敷にはニセアカシア・トウネズミモチの生育も確認なされており、河川の環境を知るための手法として今後も研究を継続する必要性を強く感じた。