著者
牛嶋 彊 尾崎 良克
出版者
日本細菌学会
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.625-637, 1980-07-25 (Released:2009-02-19)
参考文献数
56
被引用文献数
1

Bacillus subtilisおよびBacillus nattoと同定されて保存されてきた菌株,および,新しく市販納豆より分離した菌株について詳細な性状検査を行つた。1) Bergey's Manual (8版)によれば,被検菌は,すべて,Bacillus subtilisと同定された。2) 100種の性状を比較検討した結果,被検菌は,その中の13種の性状によつて2群,A, Bに分かれた。A群は,B. subtilis (ATCC6051, ATCC6633, NIHJ-PCI-219)とB. natto(SC-530123)の4株,B群は,B. subtilis (IFO-3009, IFO-13169)および,市販納豆より新たに分離した12株であつた。3) 両群の鑑別性状は,グリコーゲンの分解による酸の産生,デンプンの完全加水分解,ヒスチジンの利用で,A群は,すべて陽性,B群は,すべて陰性である。4) A群のみが,グラム陽性菌に特異的に作用する抗菌性物質を産生した。