著者
尾崎 良康
出版者
愛知教育大学
雑誌
愛知教育大学研究報告. 人文・社会科学 (ISSN:13414615)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.169-171, 2007-03-01

1964年,アメリカ支配下の沖縄普天間で,米兵2名が殺傷される事件が起きた。容疑者は,沖縄の青年4人。裁判の陪審員に選ばれた著者は,沖縄人に重罪を科そうとするアメリカ等の陪審員が多数を占める陪審評議で,ついに「逆転」を生じさせた。大宅壮一ノンフィクション賞を受賞したこの作品は,沖縄統治の実態と,陪審裁判の問題点とを赤裸々に明示してくれる。この裁判は,2009年までに実施される予定の,新しい「裁判員制度」とは明ちかに異なる制度の下での裁判ではあるが,同じ民衆による裁判という観点からみれば∫何等かの参考になる事例であると考えられる。