著者
林宝 謙治 賀川 由美子 山上 哲史
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.1-5, 2013-05-31 (Released:2013-05-30)
参考文献数
12

右下顎リンパ節の腫脹を主訴に6歳齢、去勢雄のラブラドール・レトリーバーが来院した。腹部エコー検査では脾臓の腫瘤と腰下リンパ節の腫脹が認められた。右下顎リンパ節は、多数の小型の非腫瘍性T 細胞(CD3陽性)と組織球(CD18、MHC class ⅡおよびIba-1陽性)に混じて大型の腫瘍性B 細胞(CD20およびCD79a 陽性)が混合した細胞集団からなり、これらの特徴によりT-cell-rich B-cell lymphoma と確定した。細胞学的評価では、脾臓と腹腔内リンパ節にも腫瘍細胞が浸潤していた。この犬は化学療法による治療を受けたが、十分な反応が見られず第54病日に死亡した。