著者
山下 和久
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.33-39, 2009-03-12

公益事業と収益事業を行なう民法第34条法人は,公益事業で生じる赤字を収益事業の利潤の一部で補填するという制約の下で「公益財の量」および「収益事業の税引き後利潤から公益事業への繰入額を差し引いた金額」に依存する目的関数を最大化すると考えられる。 公益認定法人は公益目的事業比率を50%以上とし,公益目的事業については剰余金が出ないようにする必要がある。また,収益事業からの利潤の50%以上を公益事業へ繰入れなければならない。そういった制約の下で,公益財の量および収益事業の利潤をできるだけ大きくするように行動すると考えられる。制約を満たすには収益事業の利潤を最大にすることができないこともある。 一般社団法人・一般財団法人は,「非営利型法人」と「非営利型以外の法人」に区分される。非営利型法人には「非営利性が徹底された法人」と「共益法人」がある。共益財供給費用が会費収入と収益事業の税引き後利潤で賄われるという制約の下で,共益法人は共益財の量および会員数に依存する目的関数を最大にするように共益財の量と会費を決定するであろう。