著者
山下 研介
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.268-272, 1987 (Released:2007-07-05)
参考文献数
13
被引用文献数
3 3

ハッサクの自家不和合性について二, 三の基礎的実験を行い, 次のような知見を得た.1. 自家ならびに他家受粉を行って15分後の成蕾雌ずい中に含まれる糖タンパクを等電点電気泳動で分析したところ, 枯頭, 花柱, 子房のいずれの部位についても, 両受粉区間に差が認められた. しかしながら, その差は受粉後30分におけるほど顕著ではなかった.2. 花柱や子房を切り落した成蕾雌ずいに自家受粉を行っても, 自家花粉管の伸長は促進されず, ほとんどすべての花粉管は柱頭内で伸長を停止した.3. 幼蕾柱頭に, 晩白柚成蕾の柱頭粘液を塗布した後自家受粉を行ったところ, 多数の自殖種子が得られた.以上の結果, ハッサクの不和合反応において柱頭の果す役割が, きわめて重要であることが示唆された.