著者
西 智弘 割田 悦子 上元 洵子 小野寺 馨 山中 康弘
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.556-561, 2012 (Released:2012-09-14)
参考文献数
11

【緒言】黄疸に合併する掻痒は, 抗ヒスタミン剤無効例が多く, 緩和に難渋する例がある. 近年, 掻痒に対するパロキセチンの効果が報告されているが, パロキセチン無効例への報告はまれである. 今回, パロキセチン無効の掻痒に対してミルタザピンが著効した1例を経験したので報告する. 【症例】56歳, 女性, 膵頭部がん・腹膜播種. 閉塞性黄疸に対してドレナージ術など行うも黄疸が遷延し, NRS (numerical rating scale) 9~10程度の, 抗ヒスタミン剤無効の全身掻痒が続いていた. 当院受診後, パロキセチンへ変更したが, 2週後にも掻痒は改善せず, 黄疸も遷延していた. しかし, ミルタザピンへ変更したところ, 翌日に掻痒はNRS 1となり, その後も掻痒の再燃は認められなかった. 【結語】パロキセチン無効の掻痒に対し, ミルタザピンは選択肢の1つとして重要である.