著者
山内 弌彦
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.237-240, 1962-06-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
18

ポリ塩化ビニル, 特に軟質ポリ塩化ビニルは可塑剤を多量に含むため, この上への塗装は一般に困難とされている。本報では, まず, 各種一般塗料について, 無処理板および, クロム酸処理, トリクレン洗浄, ペーパー掛けなどの表面処理板に対する付着性を比較し, その効果を調べた。この結果, 硬質ポリ塩化ビニルに対しては全般に良好な付着性がみられ, 特にアクリル樹脂塗料, 塩化ビニル樹脂塗料は良好であった。しかし軟質ポリ塩化ビニル1こ対しては多くの塗料が粘着性を帯びるか, 付着性不良を示し, わずかにアクリル樹脂塗料が比較的良好であるに過ぎなかった。また, 各種表面処理の結果は, 硬質, 軟質ポリ塩化ビニル, いずれに対しても, 実用的価値のあるほどの効果を示さなかった。そのため良好な付着性, および, 耐粘着性をもつ塗料として, ポリウレタン, 塩化ビニル樹脂併用塗料について検討し, VAGHを比較的多量に含む場合が良好であることを知った。