著者
山内 美幸 小山田 圭吾 長谷 由紀子
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.376, 2018

はじめに重症心身障害児(者)は様々な原因より骨折しやすい状態にある。A病棟の患者の骨密度は非常に低く、骨折のリスクがあるにもかかわらず、個々の患者の特徴を捉えた明確な安全対策が取られていない。そこで、A病棟看護師にアンケート調査と骨折のリスクのある患者1名の更衣援助場面をビデオ撮影し、安全な看護ケアの検証を行った。研究目的骨折のリスクがある患者への更衣援助での問題点を明らかにし、安全な更衣援助を検証する。研究方法A病棟での経験年数を元に寝衣着脱方法や関節保持について、アンケート調査を行い実際の介助をビデオ撮影し寝衣着脱時の関節保持の実際を理学療法士とともに検証する。倫理的配慮当院の倫理審査委員会の承認を得た。結果アンケートでは経験年数を問わず看護師全員が関節を2点保持し介助していると答えた。その後無作為に看護師のケア場面をビデオ検証した結果、病棟経験年数が4年未満の看護師を含むペアでの更衣援助では、関節を2点保持することができていなかった。病棟経験年数が4年以上の看護師同志のペアでは互い協力し、アンケートどおり関節を2点保持し更衣援助を行っていた。考察経験年数が4年未満の看護師は寝衣着脱時に関節保持を意識しようとする知識はあるが、実際には2人で関節保持することの重要性や骨折に対する危険予測する行動がとることができないと考える。また、経験年数が4年以上の看護師同士は、患者の骨折を防ぐための行動を取ることができていたと考える。実際の更衣援助場面で、病棟経験年数の長い看護師が意識して病棟経験年数の浅い看護師に直接指導を行うことが安全な更衣援助につながるといえる。結論1.病棟経験年数が浅い看護師は更衣援助を行うことに意識が向き、安全な更衣援助ができていない。2.病棟経験年数が長い看護師は安全な更衣援助を行うためにお互い協力をしている。