著者
坂部 龍太郎 山口 拓朗 長谷 諭 田原 浩 布袋 裕士 前田 佳之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.983-987, 2017 (Released:2017-11-30)
参考文献数
14

GISTを疑い切除した寄生虫による胃好酸球性肉芽腫の1例を報告する.症例は65歳の女性で,Helicobacter pylori菌に対する除菌治療を受けていた.上部消化管内視鏡検査で胃体中部大彎に潰瘍を伴う粘膜下腫瘍を指摘された.造影CT検査では,胃壁外へ突出する15mm大の腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査では,腫瘍は筋層と連続していた.超音波内視鏡下穿刺吸引細胞診では十分な組織が採取できず,確定診断できなかった.GISTを疑い腹腔鏡下胃局所切除術を施行した.病理組織学的検査では,粘膜下層に変性した虫体を認め,その周囲に肉芽腫を形成する好酸球性肉芽腫であった.寄生虫による胃好酸球性肉芽腫は稀な疾患であるが,胃粘膜下腫瘍の鑑別診断として認識しておく必要がある.
著者
山口 拓朗 長谷 諭 坂部 龍太郎 田原 浩 布袋 裕士 前田 佳之
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.78, no.12, pp.2772-2776, 2017 (Released:2018-06-30)
参考文献数
17

Interparietal herniaはヘルニア嚢が腹壁の様々な筋層・筋膜間へ進展するヘルニアで,鼠径部に発生するものは鼠径ヘルニアの1亜型と考えられている.今回われわれは,鼠径部interparietal herniaに対しPlug法でヘルニア根治術を施行した1例を経験した.症例は75歳,女性.腹部CT検査で偶然右下腹部に腹壁ヘルニアを指摘され,当科紹介となった.腹部CT検査所見よりSpigelian herniaを疑い,Plug法によるヘルニア根治術を施行した.術中所見でヘルニア嚢は内鼠径輪より脱出し,鼠径管方向ではなく頭側の外腹斜筋と内腹斜筋の間へ進展していた.以上の所見より,interparietal herniaと診断した.本疾患に対して,前方到達法はヘルニア嚢の進展を直視下に観察可能であり,有用な術式と考えられた.